女王陛下は溺愛禁止!
「ラドウィルト」
「心得ましてございます」
 ラドウィルトは一礼して下がる。

「クライド殿、礼を申し上げる。今日はもう散会といたしましょう。また晩餐のおりに」
「お部屋までお送りいたします」
「けっこうだ」
「しかし、手が震えておられる」
 言われたアンジェリアははっと手を後ろに隠した。

「無理をなさいますな。私の前では偽らざるあなたでいらしてくださいませ」
「は! その瞬間に噛みつくのであろう?」
「噛みつくよりは噛みつかれたく思いますが」
 クライドが甘やかに微笑し、アンジェリアは怪訝に目を向ける。

「色っぽい意味で、でございますよ」
 言われた直後、アンジェリアの顔にかーっと血が上る。
「失礼だぞ!」
「口説くのが失礼であるならば、いかようにしてあなたの心を掴めばよろしいのでしょう」
「知るか!」
 アンジェリアはぷいっとそっぽを向く。

「やはり陛下はおかわいくていらっしゃる」
 その肩を抱き、クライドは耳に囁く。
「もっとかわいい姿をお見せくださいませ。貴女が乱れる姿はどれほど男を煽ることでしょう」
「やめろ!」
 アンジェリアが突き飛ばした直後、クライドの喉に剣がつきつけられる。
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