女王陛下は溺愛禁止!

***

 アンジェリアはうんざりしていたが、ラドウィルトに最後だと言われたので仕方なくクライドを招いて茶会の席を設けた。
 明日には彼は帰国の途につく。
 レイジェリーナはまた子供の世話があるといって欠席だが、もしや彼とアンジェリアを結び付けるために何者かが手を回してレイジェリーナに欠席させたのでは、と疑いが湧いてくる。

 今日は以前とは違う白薔薇の四阿だった。零れるように咲き乱れる白薔薇の庭園の先、池の中に突き出すように白い四阿が立ち、天辺にはガーゴイルがいる。夏は口から吹く水によって清流のカーテンが現れ、四阿に涼しさが満ちる。が、今の時期は大人しく天に向かって口を開くのみだ。

 ラドウィルトと侍女、護衛は少し離れたところで待機している。三方を水に囲まれた四阿だ、唯一近付ける陸路を守れば暗殺者は容易には近付けない。

 テーブルに並べられたティーセットは豪華にして可憐。白薔薇のようなぽってりしたカップに銀のふちどりがあり、銀のスプーンが添えられていた。
 並べられた多種の焼き菓子にはクリームやフルーツが添えられ、瑞々しいミントの葉が飾られていた。

「再び陛下とお茶を楽しむ機会を得ましたこと、この上ない喜びにございます」
 笑みを浮かべたクライドに、アンジェリアはお行儀悪く片肘をつき、頬を載せて見やる。

 ふと見た池には東洋から輸入した鮮やかな鯉が泳ぐ。食用の鯉ならばこの国にも古くから存在しているが、このようなきらびやかな色を持った鯉はいなかった。

「水中の宝玉というにふさわしい見事な鯉でございますね。しかしあなたの心を得るにはどのような宝玉を積んだところで無意味なのでございましょう」
 アンジェリアの視線を追ったクライドが言う。
 アンジェリアは目をクライドに戻した。
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