こじらせ美女は王子様の夢を見る
鼓動
.




「玲央!今日暇!?」




ソファでくつろぐ玲央に飛びつく私。




「暇じゃな、「暇だよね!?」



「おい、勝手に決めんな」



「じゃあなにすんのさ」



「……色々、課題とか」



「うそだ、玲央が課題してるのなんて見たことない。ほら、行きたいとこあるの!早く行くよ!準備して!」


「は?どこに…」



「いいからいいから!」





半ば強引に玲央をソファから引き摺り下ろす。




よし、だって今日は楽しみにしてた…





「で、お前が行きたかったとこってここ?」



「うん!映画館!」





今日は私が楽しみにしてたホラー映画の公開日。




颯太くん誘ってもよかったけど、




私がホラー映画好きだなんて知られたら引かれるかもだし…





「わー、やっと見れる!このホラー映画の続編早く見たかったんだよねー!」



「は?…ホラー映画?」




明らかに玲央の顔が固まる。




「うん!どうしたの?あ、ホラー苦手?」



「…別に、見れる」



「そう?よかった!」




チケットを買ってポップコーンとジュースを買った私たちは上映される部屋に入った。




「で、何でカップルシートなんだよ」



「さ、さあ。2人、空いてるとこでお願いしたんだけど、カップルに見えたのかもね?」




何この席…めっちゃ狭い。




普通に座っても玲央と肩が当たってしまう。




すると玲央が私の肩に顔を乗せてきた。




「ちょ、なにしてんの」




私が顔を向けると、玲央の顔がすぐ近くにあるわけで…



びっ、くりした。



キスしたかと思った…




「俺らカップルに見えんだろ?」




ふ、と笑ってそんなことを言う玲央。




もうほんとなに…




映画前からドキドキしすぎておかしくなる。






「お前今日いい匂いすんね」




「…ッ…は?」





私の首をくんくんと、匂いを嗅いでいる玲央。




やばい、感覚が首に集中して、




声が出そう…





「俺のため?」




「……ひゃっ…」





玲央が話すから吐息で声が出てしまった。





恥ずかしくて玲央の方を見れない。





私は手で口を塞ぐ。




「へー」余裕そうな声でそう言った玲央。





やばい…





玲央がからかう時の声だ。






「ミナって首、弱いんだ?」






ほら、始まった。





「いいこと知った」





玲央は小声で言うから、余計吐息が首に…






「……ひぃッ……」






するとその時、玲央の舌が私の首を添った。





「…な、」






舐められた…




しびれを切らした私は玲央のほうを向くと、意地悪そうににやりと笑っている。







「感じた?」






ありえない。




このど変態。





「……ッ痛っ」





私は玲央の手を力いっぱい摘む。






「最悪!次したらまじで許さないから」




「はいはい、気をつけまーす」






…ほんとにわかってんの。





「いってーまじで女かよ」と私が摘んだ手を撫でる玲央。





ほんっと憎たらしい。





でも、今からホラー映画を見るからなのか。





玲央が隣にいるからなのか。





映画前から私の心臓は信じられない速さで動いていた。



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