気まぐれヤンキーくんのあまのじゃくな溺愛。
午前中の授業が終わって昼休み。
朝の出来事を親友である萌恵ちゃんにお弁当を持ち寄って話したら、
萌恵ちゃんは「またか」と呆れ気味な顔をして返事をしてきた。

「ったく、またあんた厄介事に突っ込んだの?本当に相変わらずだね」
「だって、流石にあんなの見てると放っとけないよ!」
「いや、陽羽の気持ち分かんなくはないけどさ喧嘩が全てっていう学校だから、よくあるんだよ」
「流石、中学からいる人…」
「もう見慣れて飽き飽きしてるけど」

流石強い萌恵ちゃんだ…。
如月萌恵(きさらぎもえ)ちゃん。
アイドルみたいに可愛く整ったロングヘアの見た目に反して、
実はこの学校のNo.3に立つ【last】という暴走族の幹部を務めている。
慶王高校は中学もあって、萌恵ちゃんは慶王高校の一貫生でもある。
最初は不良ってなだけで近づきにくかったんだけど…

『ねぇ、それ!「チビちゃんズ」のチィくん?』
『あ、うん、そうだけど…』
『マジ⁉︎あたしもそのシリーズ大好きなんだよね!特に第123話のさ~』
『ご、ごめん。私まだ100話までしか見てなくて…』
『え、だったら今日一緒に見ようよ!絶対ツボるから‼︎』

お互いの趣味が一緒で盛り上がって意気投合したのが萌恵ちゃんとの出会い。
あの時がなかったら、萌恵ちゃん含む不良グループ達の事を皆みたいに悪い印象で見ていた。
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