エンドロールを巻き戻せ
金曜日になって、私と優佳先生は仕事終わりにそのまま合コンに参加した。
私は、無難なワンピースを着てその日は参加する事にした。
全てが初めてで、どんな服装が良いのかも、なんだかよくわからなかったからだ。
場所は渋谷の、少しおしゃれなレストランだった。
私以外は、優佳先生の大学時代の友達が3人来た。優佳先生は、明らかにいつもより、服もメイクも気合いが入っていた。
私は、人生初の合コンに少なからず緊張していた。
元々人見知りもあり、初めての人と会話するのは苦手と言う事もあった。
席に着くと、男性の方は全員既に来ていた。
私は5人もスーツを着た男性が並んでいて、圧倒される。
見た目はみんな、かっこいい若いサラリーマンという風貌だった。
優佳先生が隣りで私に囁く。
「あたりですね」
私は、また男性陣を見て思う。
(あたりなのか、、、。)
私にはもはや、何があたりかなんてわからなかった。
この場の雰囲気に緊張していた事もあるし、ここにきて思った事は、やっぱり一彩以外は私にとって"はずれ"だという事だ。
合コンが始まり、1人ずつ自己紹介していく事になった。
男性達は、私でも聞いた事のあるような大きい企業で働いている人達ばかりだった。
そして、自分の働いている会社の名前を誇らしく思っているのがなんとなく伝わった。
自己紹介が進むと、場は盛り上がっていった。
私は、自分の気持ちを置き去りにして、なんとかその場についていこうと頑張った。
しばらくすると、私の隣りに一人の男の人が腰をかけた。
「ここいい?」
と聞かれて、私は少しびっくりしたが「どうぞ。」と答える。
確か、さっき自己紹介の時に言ってた、早見さんって言ってたかな。
「瑞稀ちゃんはこういう場苦手?」
いきなり名前で呼ばれてびっくりしたが、合コンってこんなものなのかと思って、私は聞き流す。
「実は今日初めてで、合コン来るの。よくわからないんですよ。早見さんはよく来るんですか?」
と私が聞くと、早見さんは笑いながら言う。
「遊び人みたいに言わないでよ。
普段は仕事が忙し過ぎて、全然飲みに行く暇もないんだよ。たまたま今日は夜の打ち合わせがなくなって参加できたんだ。」
「ああ、そうだったんですね。」
私は適当に頷く。
彼が少なからず、私に興味を持ってくれているのを感じる。
完全に身体をこっちに向け、私が向こう側が見えないようにしているからだ。
「瑞稀ちゃん、失恋しちゃったんだって?長く付き合ってる彼氏に。さっき優佳ちゃんが言ってたよ。」
「ああ、まあそうですね。」
私は無理に口角を上げて作り笑いをする。
だんだん自分は何やってんだろうと思ってくる。
「失恋から立ち直るには、何が有効かわかる?」
早見さんが私に少し近づいて言ってくる。
私は少しドギマギして言う。
「な、何ですか?」
「無理にでも、早く新しい恋をする事。」
そう言って、私の指先にふれる。
その瞬間、私はぞわっと全身に鳥肌がたつ。
無理だ、、、。9年間、一彩以外の男に触れられた事などなかったのだ、嫌悪感しかない。
そんな私の気持ちも知らずに、早見さんは言ってくる。
「瑞稀ちゃん、緊張してる?」
もう、軽く地獄である。
「そ、そんな事ないですけど、、、。」
と言って私はさりげなく、早見さんの手を振り払う。
私に新しい恋愛なんて無理だと思った瞬間だった。
その後も、なんとか早見さんをかわしつつ、合コンは終わった。
お店を出る時に優佳先生が私に言ってくる。
「瑞稀先生、早見さんと良い感じじゃなかったですか。このまま二人で二次会抜けちゃえばいいですよ。」
「違うんだって、私本当にタイプじゃないんだって!私もう帰るよ。」
慌てて言うと、優佳先生が怒った顔でいう。
「何言ってるんですか!瑞稀先生、もう25歳ですよ!あんなハイスペなかなか捕まえるチャンスないですからね!タイプとかどうでもいいですから。早く早見さんの所行ってください。」
そんな話しをしていると、後ろから早見さんが私に声をかけてくる。
「瑞稀ちゃん。帰るの?俺送っていくよ!行こう行こう!」
優佳先生が私の背中を押す。私の意見などないのだ。
そして、皆んな二次会に行ってしまい、私と早見さんで残される。
最悪だ、、、。
「瑞稀ちゃん、飲み直さない?」
早見さんが私の手を取ろうとする。
私は思わずその手を振り払った瞬間、前から見覚えのある人が歩いてきた。
それはこの二週間ずっと私が会いたくてたまらなかった人だ。
私は、無難なワンピースを着てその日は参加する事にした。
全てが初めてで、どんな服装が良いのかも、なんだかよくわからなかったからだ。
場所は渋谷の、少しおしゃれなレストランだった。
私以外は、優佳先生の大学時代の友達が3人来た。優佳先生は、明らかにいつもより、服もメイクも気合いが入っていた。
私は、人生初の合コンに少なからず緊張していた。
元々人見知りもあり、初めての人と会話するのは苦手と言う事もあった。
席に着くと、男性の方は全員既に来ていた。
私は5人もスーツを着た男性が並んでいて、圧倒される。
見た目はみんな、かっこいい若いサラリーマンという風貌だった。
優佳先生が隣りで私に囁く。
「あたりですね」
私は、また男性陣を見て思う。
(あたりなのか、、、。)
私にはもはや、何があたりかなんてわからなかった。
この場の雰囲気に緊張していた事もあるし、ここにきて思った事は、やっぱり一彩以外は私にとって"はずれ"だという事だ。
合コンが始まり、1人ずつ自己紹介していく事になった。
男性達は、私でも聞いた事のあるような大きい企業で働いている人達ばかりだった。
そして、自分の働いている会社の名前を誇らしく思っているのがなんとなく伝わった。
自己紹介が進むと、場は盛り上がっていった。
私は、自分の気持ちを置き去りにして、なんとかその場についていこうと頑張った。
しばらくすると、私の隣りに一人の男の人が腰をかけた。
「ここいい?」
と聞かれて、私は少しびっくりしたが「どうぞ。」と答える。
確か、さっき自己紹介の時に言ってた、早見さんって言ってたかな。
「瑞稀ちゃんはこういう場苦手?」
いきなり名前で呼ばれてびっくりしたが、合コンってこんなものなのかと思って、私は聞き流す。
「実は今日初めてで、合コン来るの。よくわからないんですよ。早見さんはよく来るんですか?」
と私が聞くと、早見さんは笑いながら言う。
「遊び人みたいに言わないでよ。
普段は仕事が忙し過ぎて、全然飲みに行く暇もないんだよ。たまたま今日は夜の打ち合わせがなくなって参加できたんだ。」
「ああ、そうだったんですね。」
私は適当に頷く。
彼が少なからず、私に興味を持ってくれているのを感じる。
完全に身体をこっちに向け、私が向こう側が見えないようにしているからだ。
「瑞稀ちゃん、失恋しちゃったんだって?長く付き合ってる彼氏に。さっき優佳ちゃんが言ってたよ。」
「ああ、まあそうですね。」
私は無理に口角を上げて作り笑いをする。
だんだん自分は何やってんだろうと思ってくる。
「失恋から立ち直るには、何が有効かわかる?」
早見さんが私に少し近づいて言ってくる。
私は少しドギマギして言う。
「な、何ですか?」
「無理にでも、早く新しい恋をする事。」
そう言って、私の指先にふれる。
その瞬間、私はぞわっと全身に鳥肌がたつ。
無理だ、、、。9年間、一彩以外の男に触れられた事などなかったのだ、嫌悪感しかない。
そんな私の気持ちも知らずに、早見さんは言ってくる。
「瑞稀ちゃん、緊張してる?」
もう、軽く地獄である。
「そ、そんな事ないですけど、、、。」
と言って私はさりげなく、早見さんの手を振り払う。
私に新しい恋愛なんて無理だと思った瞬間だった。
その後も、なんとか早見さんをかわしつつ、合コンは終わった。
お店を出る時に優佳先生が私に言ってくる。
「瑞稀先生、早見さんと良い感じじゃなかったですか。このまま二人で二次会抜けちゃえばいいですよ。」
「違うんだって、私本当にタイプじゃないんだって!私もう帰るよ。」
慌てて言うと、優佳先生が怒った顔でいう。
「何言ってるんですか!瑞稀先生、もう25歳ですよ!あんなハイスペなかなか捕まえるチャンスないですからね!タイプとかどうでもいいですから。早く早見さんの所行ってください。」
そんな話しをしていると、後ろから早見さんが私に声をかけてくる。
「瑞稀ちゃん。帰るの?俺送っていくよ!行こう行こう!」
優佳先生が私の背中を押す。私の意見などないのだ。
そして、皆んな二次会に行ってしまい、私と早見さんで残される。
最悪だ、、、。
「瑞稀ちゃん、飲み直さない?」
早見さんが私の手を取ろうとする。
私は思わずその手を振り払った瞬間、前から見覚えのある人が歩いてきた。
それはこの二週間ずっと私が会いたくてたまらなかった人だ。