別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました
「俺は、彼女の恋人だ」

「なっ……」

 静かな迫力と“恋人”という単語に琉生が声を無くす。隣に立つ佳純も同じだった。

(恋人って、“元”が抜けてる……!)

「……ごめん琉生君、五分だけでいいから大輝を見てもらってもいい?」
 
 さすがにこの状況で瞬と話を続けるわけにはいかない。少しの間琉生に大輝を連れてすぐそばにある公園に行ってもらうことにする。

「こいつ、危なくはねぇんだな?」

 心配気な顔で確認してきたので、佳純は笑みを作って答えた。

「うん、それは大丈夫」

「わかった。大輝、ちょっとだけむこうで俺と遊ぶぞ」

「ママは?」

「お話が終わったら行くね」

 佳純が言うと大輝は「ママがくるならいい」と頷く。琉生は小さな体をひょいと抱きあげ、瞬の顔を一度睨んでから歩き去った。

「……彼が“いつも一緒にいてくれる人”か?」

 琉生たちの姿が見えなくなると、瞬は低い声を出した。佳純は心の中で息をのむ。

 瞬は覚えていたのだ、別れを告げるときに佳純がついた嘘を。

――『私いつも一緒にいてくれる人がいいって気付いて。急に会えなくなったり、長い間会えないと寂しいから』
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