別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました
 食事を終え、さっさと会計を済ませてしまった瞬に慌てて声をかける。自分たちの食事代まで支払わせるわけにはいかない。

「鮫島さん、おいくらでしたか? 支払います」

 バッグから財布を取り出しながら訴えても、瞬は取り合ってくれない。

「気にしないでくれ」

 彼のことだからそう言うと思っていたが、それに甘えるわけにはいかないと食い下がる。

「いえ、気にしますから」

「――佳純」

 低い声で待ったをかけられ、佳純は続けられなくなる。

「こういうことも含めて、これからのこと家でちゃんと話をさせてくれないか」

 真剣な表情に強い意志が伝わってきて、佳純はゆっくり頷いた。

「……はい、私もお話したいです」


 新宿区市谷、大通りから少し入った静かな住宅街。外観から一目で高級物件だとわかる瀟洒な低層マンションの三階に瞬の住む部屋があった。

「……おじゃま、します」

 大輝を抱っこしながら広い玄関で慎重に靴を脱ぐ。

「ぜんぜん起きそうもないな」

 ドアを閉めながら瞬はフッと笑う。

「あんなにはしゃいでましたし、お腹もいっぱいになりましたからね」
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