別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました
 広い対面式キッチンで瞬はコーヒーマシンのスイッチを入れた。ほとんど自炊をしないと言っていたように、ここから見る限りあまり生活感が感じられない。リビングもソファーとテーブルはあるがテレビやサイドボードなどは置かれていなかった。

(忙しくて、寝に帰ってくるだけの日もあるんだろうな)

 そんなことを考えながらキョロキョロしていると、瞬がマグカップをふたつもってやってきてローテーブルの上に置く。コトンという小さな音に不意に胸が跳ねたのは、緊張しているせいだろう。

「……いただきます」

「ああどうぞ……何もない部屋で驚いただろう?」

 瞬は苦笑しながら佳純の隣に腰かけた。

「ちょっとだけ……こちらには帰国してから? たしか前は違ったような」

 恋人だったころ、九段下の賃貸マンションに住んでいると聞いた覚えがあった。

「そう、元々ここは兄が所有していた物件なんだ。姪が大きくなって手狭になったらしくて青葉台に家を建てて引っ越したからリフォーム入れて俺が借りている」

「あの、お兄様はなんのお仕事を……」
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