ハロウィンの悪魔
そして17時頃、差し戻した書類の再提出に来たのは界斗だった。
書類は訂正を依頼した部分も含め完璧な状態になっている。
「すみませんでした」
「えっ」
手元に落としていた視線を上げると、界斗が感情の読めない顔で栞を見ていた。
「同僚が失礼な事を言いました。すみません」
「あ、いや…御堂さんが謝ることでは…」
こういったことは慣れているし、と心の中で呟いた。
今日ほどの酷い物言いは初めてだが、実際これまでも可愛らしい女子社員と比べられて悪口まがいな事を言われている事は知っていた。
傷つかないと言えば嘘になるが、コンプレックスばかり気にして努力を怠っているのも分かっているので、何も言えなかった。
けれどいきなり変える自信はない。
だからこれで良いのだ。
「いえ、朝比奈さんが居ると知らなかったとはいえ、もっとキツく言うべきでした」
「いえ、そんなことまでして頂かなくても…」
そう言ってくれるだけで十分なのに、界斗は酷く罪悪感を感じているようだった。
彼が悪く思う必要なんて何ひとつ無いのに。