ハロウィンの悪魔




栞の希望通りに個室へ入り、お互いにビールを注文して食事も幾つか適当に頼んだ。

そうして酒もほどほどに進んだところで、それまでぎこちなかった会話を打ち切り、界斗が全く関係の無い話題を唐突に持ちかけて来た。


「俺たち、何処かで会ったことないか」


初めのうちの会話で界斗が実は同級生だという事を知り、彼からの敬語はやめようとの提案で早速砕けた口調でそう言った。

界斗の質問には思い当たる節しかない。

ドキリとしながらも、栞は首を横に振った。


「な、無いと思いますけど…どうしてですか?」


性格的に急に親しみを持つなんて無理だし、そもそも立場に大きな差があるいうこともあり、栞はすぐに敬語を辞めなかった。


あの日とは見た目も服装も何もかもが違う、バレる要素など何一つ無いはずだ。

そう自分に言い聞かせて、可能な限りの平静を装ってそう返した。




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