ハロウィンの悪魔




「夕食って、私とですか?他の人は?」
「いません。朝比奈さんと二人で話がしたいんです」


好みどストライクの顔で言われてしまえば、栞だって普通の女なのだからときめかない訳がない。

けれどふと昼間の罵詈雑言を思い出し、勘違いしそうになる頭を横に振る。


「えっと、二人はちょっと…」
「なら昼間の件のお詫びだと思って来てくれませんか」


尚も食い下がられ、ウッと喉から声が出る。


どうも彼は昼に同僚の暴言を止められなかった事を後悔しているようで、何も悪くないのに責任を感じているようだった。

これが将来会社の重役を背負う責務なのかと他人事のように思う。


兎にも角にも、どう断っても諦めてくれなさそうな頑固さと面の良さに降参せざるを得ず、栞は「分かりました」と口にした。


「会社の人には見られたくないので、個室なら行きます」
「ありがとうございます」


綻んだ顔の何と美しいことか。
好みとは恐ろしい。

真っ赤になりそうな顔を誤魔化すように俯き、二人は会社から程々の距離にある駅近くの大衆居酒屋へと向かった。







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