あの子の成績表
「じゃあ、やってみるよ」
1年生の頃の成績表を水に浮かべます。
プアプカと浮かんでいるそれを指先でつついて、少しだけ沈めて見たり、水の中でクルクルと回転させてみましたが、文字はなにも浮かんできません。

続いて2年生の頃の成績表、3年制の頃の成績表を試していきましたけれど、なにも起きませんでした。
「どうする? やめておく?」

これ以上成績表を水で濡らしても変化はなさそうだったので、私は隣にいる正樹へそう聞きました。
正樹は渋面をつくってため息を吐き出し「そうだな」と、短く答えました。

水でダメなら今度は火です。
やっぱり少し怖いのがあって、私はコンロの火をつけるのをやめてリビングの戸棚からマッチを取り出しました。

お父さんが時々行くスナックというお酒を飲む場所でもらってくるものです。
ライターも使ったことがない私はマッチを前にして動けなくなってしまいました。
この赤い頭の部分を箱の側面にこすりつけて火を起こすことは知っています。

でも、それってすごく危なくないですか?
マッチの持ち手はとても短くて、花火みたいに離れた先端から火が出るのではありません。
指のすごく近くで火が出るんです。
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