あの子の成績表
☆☆☆

わざと評価をマイナス100にするというのは、思っていた以上に難しいことでした。
いままでいなくなった子たちは何年かかけて評価が下がっていったはずです。

それを2学期中にしようとするのですから、簡単なわけがありませんでした。
「最近疲れてるみたいだけど、大丈夫か?」
放課後、公園のベンチに座っていると正樹がやってきて隣に座りました。

「え、そう?」
「そうだよ。顔色も悪いし」
正樹はそう言いながらカバンから小型のペットボトル爆弾を取り出しました。

公園に立ち寄ったのはこれを試してみるためだったのかとわかり、ちょっとだけガッカリしました。
正樹がペットボトル爆弾を砂場にセットしているのを見ながら私はため息を吐き出しました。

今日は学校で教卓を横倒しにして暴れてきました。
そのせいで体力が尽きかけていて、とてもしんどいのです。

吉岡勇くんが暴力的な生徒だったことを模範してやってみたのですが、こういうのは私にはまり向いていないようでした。
「昨日、先生が家に来たんだろ?」
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