無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる
「……そう」
と、どこか愁いを帯びた表情をしながら、優しく言った。
今の染野くんの言葉遣いには、どこか中学生の頃の彼を想起させるようなものがあった。
もしかしたらあの頃と変わっていないのかも、なんて都合のいいようなことを考えてしまう。
だけど、そんな染野くんの表情は、まばたきをする間くらいの一瞬の時間で、いつもの表情に戻った。
いつも通りの、心底私を咎めるかの表情。
あぁ、そっか。
あやうく忘れてしまうところだった。
……なんでこんなに話しちゃったんだろう。
染野くんが私のことをよく思っていないことくらい、分かっていたはずなのに。