無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる


「朝倉」



でも、染野くんは私の名前を呼んでくれる。


本当は、嫌いだなんて嘘だって、言ってくれたりしないかな……。



「……ら」



せめて、あのとき、言えなかったお礼と感謝を。


この同居の間に伝えられたらいいな、なんて……。



「朝倉っ!!」

「わあっ⁉」



突然の染野くんの、私を呼ぶ大きな声に驚いてしまう。


そのせいで、心臓がひときわ大きく跳ねた。


うぅ、変な声出しちゃった……。



「ど、どうしたんですかっ?」



まだ少しうわずった声で、染野くんに尋ねる。


すると、染野くんは盛大にため息をついて。

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