無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる



そして、染野くんの言葉になるほど、という意を込めて数回うなずいた。



「あれ、部屋まだ一つある……」



そうつぶやいて、その空き部屋へ歩き出す染野くんの後を追う。


その部屋の中には、たくさんの段ボールが積み重なっていた。


きっと、私たちの荷物が入ったものだろう。


丁寧に「玲奈」「一樹」とそれぞれの段ボールに名前が書いてあるので、整理するときもそんなに困らないはず。


私は書いた覚えがないから、多分お母さんが書いてくれたんだと思う。


お母さんには感謝してもしきれないな。


それから私たち一階に戻り、キッチンや洗面所などの場所の確認をした。

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