無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる
それに、あんなことが起きたばかりなのに、顔なんて合わせられない。
……合わせる顔が、ない。
それなら、ええいっ、朝ご飯はいいや。
だって、こっちにも事情があるし……っ。
今日ばかりは仕方ないよねっ。
ご飯も片付けてる時間が持ったいないし、帰ってきてから片付けよう!
泣く泣く朝ご飯は見送って、玄関前に置いてある通学カバンを手に取る。
そのとき、玄関のすぐそばの階段から、染野くんが下りてくる音がした。
──ダンダンダンッ。
……まずいっ。
急いでローファーを履いて、玄関の戸を開ける。
「……い、行ってきますっ」