無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる


それに、あんなことが起きたばかりなのに、顔なんて合わせられない。


……合わせる顔が、ない。


それなら、ええいっ、朝ご飯はいいや。


だって、こっちにも事情があるし……っ。


今日ばかりは仕方ないよねっ。


ご飯も片付けてる時間が持ったいないし、帰ってきてから片付けよう!


泣く泣く朝ご飯は見送って、玄関前に置いてある通学カバンを手に取る。


そのとき、玄関のすぐそばの階段から、染野くんが下りてくる音がした。


──ダンダンダンッ。


……まずいっ。


急いでローファーを履いて、玄関の戸を開ける。



「……い、行ってきますっ」

< 131 / 486 >

この作品をシェア

pagetop