無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる
「そ、そうだよ……?
あと、お店でたまたま、颯太先輩にも会って……」
恥ずかしさで上手に話せない。
ちらりと染野くんの方を見やると、その瞳は私をとらえて、離してはいないようだった。
私たちの視線が絡まって、ひときわ大きく心臓が鳴る。
「それって……、朝倉に告白したってうわさの?」
「……っ、なんで染野くんも、知って……」
この話、そういえば琥珀くんも知ってたよね……。
うわさって……、やっぱり颯太先輩が王子様だから、すぐに広まってしまうのかな。
視線を絡ませたままでいるのは恥ずかしくて、私はまた目をそらした。
「……朝倉」
少しだけかすれた声で、染野くんが私の名前を呼ぶ。
「こっち、見てよ」
「や、やだ……、恥ずかしい……っ」
「お願い、朝倉」
……っ、どうしてそんなお願いをしてくるの。