無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる
ダメだよ、視線を絡ませてしまったら、私、どうにかなっちゃいそう。
「む、ムリ」
「……っ、玲奈」
「……、へ」
い、今、玲奈って……。
反射的に染野くんの方を見る。
その瞬間、バチっと視線が重なった。
「……っ、あ……」
ねえ、そらせないよ、染野くん。
そんな熱を持った瞳で、私を見ないで……っ。
染野くん、ずるいよ……。
「……玲奈」
心臓の音が大きく聞こえる。
染野くんには、聞こえてないかな……。
なんて、心配になった。
だって、私たちの間には、15センチほどの間しかない。
なにか意味を持ったような声で、私の名前を呼ばないで。
ねぇ、これ以上は心臓に悪いの、染野くん。
持たないから、心臓が……っ。
「すごくさ、勝手だって分かってるんだけど……」