無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる
一樹side
*
隣でリビングのソファに座っている玲奈を見て、無意識にため息をついた。
……やってしまった……。
本当に、あんなことをするつもりはなかったんだ。
玲奈に対して、壁ドンとか……。
今朝、玲奈がよく王子様なんて言われている佐藤と出かけると、うれしそうに俺に報告してきた。
玲奈がうれしそうにしていることと、男と出かけることに、なぜか無性に腹が立って。
だから玲奈が出かける直前は、そっけない態度をとってしまった。
後々申し訳ないなと思ったけれど、それ以上にムカついていた。
分かってる。玲奈は俺のものなんかじゃない。
でも、玲奈は俺にとって初めての存在なんだ。
あれから……、あの日から、女の人を嫌いじゃないと思えたのは初めてで。
俺だって、動揺していたんだよ。
でも、それ以上に……。
初めての存在を、失いたくなかったんだ。