無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる

一樹side






隣でリビングのソファに座っている玲奈を見て、無意識にため息をついた。



……やってしまった……。



本当に、あんなことをするつもりはなかったんだ。



玲奈に対して、壁ドンとか……。



今朝、玲奈がよく王子様なんて言われている佐藤と出かけると、うれしそうに俺に報告してきた。



玲奈がうれしそうにしていることと、男と出かけることに、なぜか無性に腹が立って。



だから玲奈が出かける直前は、そっけない態度をとってしまった。



後々申し訳ないなと思ったけれど、それ以上にムカついていた。



分かってる。玲奈は俺のものなんかじゃない。



でも、玲奈は俺にとって初めての存在なんだ。



あれから……、あの日から、女の人を嫌いじゃないと思えたのは初めてで。



俺だって、動揺していたんだよ。



でも、それ以上に……。



初めての存在を、失いたくなかったんだ。


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