無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる


俺がこんなに玲奈でいっぱいになってしまったのは、つい三日前にさかのぼる。



────


「あっ、染野くん! おはよう……っ!」


「ん。……はよ」




朝が弱い俺は、目をこすりながらリビングへ入る。



そんな俺を見て、キッチンでエプロン姿で料理をしている朝倉は、にこりと笑った。



俺は早朝で頭が働かず、そっけない返事をして言葉を返す。



時計を見ると、もうすぐで七時になるところだった。



……着替えたりしなきゃな……。



よく考えたら、着替えは部屋にあるんだから、着替えてからこっちにくればよかった……。



やば……、やっぱり朝は頭働かねぇ……。





「……ちょっと着替えたりしてくる」


「うん、行ってらっしゃいっ」




料理をしている手を止めて、俺の言葉に朝倉は返事をする。



……律儀だな、朝倉って。



そんなことを思いながら、俺は部屋へと向かい、制服に着替える。


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