無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる
顔がかああっと赤くなっていくのを感じる。
またもや近くにある一樹くんの顔を見れそうになくて、私は両手で自分の顔を隠した。
「い、一樹くん……っ」
「ん? どうしたの、玲奈」
「ち、近いから……っ」
「そう?」
じゃあ、もっと距離つめてあげようか?
意地悪な声をした一樹くんが続けてそう言った。
つ、つめる……⁉
もっと……⁉
だ、ダメだよ、これ以上は心臓が持たない……っ‼
「だ、ダメ……っ」
「えぇ、ダメなの? 残念」
明らかに悲しそうな声。
何が残念なの……っ‼ と叫んでしまいたくなる。
ドキドキ、と速い鼓動。
こんなに近距離だと、絶対に伝わってしまう。
「玲奈、手どけて」
「や、やだ……っ」
「なんで?」
「……っ、ぜ、絶対、真っ赤だから……っ」
うぅ……、なんでそんなに意地悪なの……っ?