無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる


いつもとは違う、意地悪だけど甘い声。



私にとっては刺激が強すぎる。



一樹くん、本当、どうしちゃったの……っ。




「み、見られたく、ないの……っ!」


「俺は見たいけど?」


「~~っ」




見たい……っ⁉



一樹くんの考えていることが分からないよ……っ。



私なんかのこんな姿、何も需要なんてないのに……‼



感じたことがないくらい、心臓が速く、大きく音を立てる。




「お願い、見せて」


「うぅ……っ、なんでっ、意地悪……」




すぐそばで、一樹くんの息をのむ音が聞こえた。



どんな顔をしているのかが気になってしまって、指の隙間から一樹くんの顔をちらりと見てみる。



その顔は少しだけ赤く染まっていて、どきんっと心臓が音を立てた。



だけど、オオカミのような瞳をしていて。




「あー、もう、本当可愛い」


「な……っ!」


「意地悪って……、言葉選びがまず可愛い」


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