無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる


「……玲奈」




さっきまでと少しだけ違う声音で名前を呼ばれたかと思えば、私の両頬はあっという間に染野くんの手のひらに包まれてしまった。



そして、くいっと一樹くんの方を向かせられて。




「……っ」




これでもかと思うほどまっすぐな視線と、私の視線が重なり合った。




「……っ、玲奈」


「な……、んんっ!」




なに、と言おうとしたそのときだった。



唇に柔らかい感触を感じたのだ。



だけど、それはあっという間になくなってしまって。



思わずパチパチと目を瞬かせていると、一樹くんの意地悪な笑顔が現れた。



さっきの行動を理解するのにそう時間はかからなかった。



だからこそ、それを理解するのと同時に、かああっと顔に熱がのぼっていく。




「な、なにしたのっ、今……っ」




その行動の名前を確かめたくて、私はおぼつかない口調で一樹くんに問う。


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