苦手な上司にプロポーズすることになりました
 


 夕方、佑茉が社食から、テイクアウトのコーヒーを手に出てくると、
「薬川さん」
と湯沢が声をかけてきた。

「ちょっと赤荻のことが噂になってたみたいなんですが。
 聞かれました?」

「ああ、部長に彼女がいるって話ですか?」

「なにかの間違いだとは思うんですが」

 由人はあのあと、近場に出張に出てしまったので、誰も彼に詳しい話を聞けてはいなかった。

「すみません。
 実は赤荻には……」

「気になる女性がいるそうですね」

 はい、と湯沢は頷く。

「もしかしたら、彼女の名が、ゆかりなのかもしれません」
< 134 / 379 >

この作品をシェア

pagetop