苦手な上司にプロポーズすることになりました
 喉が渇いていたのか、一気にあおった由人の前に、佑茉はそれを投げた。

「スーパー閉まってたかもしれませんが。
 コンビニにもありますよ、これ」

 おひとつどうぞ、と言うと、由人は紫色のふりかけの袋を手に取り、

「……ありがとう」
と言う。

 『ゆかり』という名の赤しそのふりかけだ。

「母親にふりかけとかかけると、おかずを食べなくなるからと、ずっと禁止されてたんだ。

 でも、この間、社食で、ゆかりむすびが出て。

 給食以来だったんだが、美味くて」

「それで、社食のおばさんに売ってないか訊いたんですね」

 紛らわしい名前ですよね~と佑茉は由人の手にある紫色の袋を見ながら言う。

「部長、『ゆかり』って名前の彼女がいると社内で噂になってますよ」

 えっ? と由人は驚く。
< 138 / 379 >

この作品をシェア

pagetop