苦手な上司にプロポーズすることになりました
 


 その頃、由人の母、千賀代(ちかよ)は、ドキドキしながら、スマホを握っていた。

 なんということっ。
 こんな時間に由人が女性といるなんてっ。

 側を通る自転車の音が聞こえたから、社内ではない。

 部長って聞こえたから、出張中の可能性もあるけど。

 仲のいい会社の女の子かも。

 いや、由人にそんな相手とかっ。

 あの朴念仁(ぼくねんじん)にっ。

 長身、イケメン、高学歴。
 ちょっと融通がきかないとこはあるけど、性格もそう悪くない。

 我ながらいい感じに産んで育てたから、嫁の心配はないと思っていたのに。

 中学高校大学、社会人になってさえ、恐ろしいくらい浮いた噂がなかった。
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