苦手な上司にプロポーズすることになりました
 


 日曜の朝。
 千賀代は着物姿で、畑に降り立とうとして、夫に止められた。

 だって、うちの嫁になるかもしれない子が来るのにっ、と思う千賀代はある意味正しかった。

 いや、本人たちはには愛のない、結婚前偽装同居をしているだけなのだが。

「あなたこそっ。
 こんなときに、なんで、釣りになんて行くのよっ」

「いやいやお前、冷静に考えろ。
 由人が彼女なんて連れてくるわけないだろ。

 ただついでがあるから、その部下の子が乗せてきてくれるだけなんじゃないか?」
と夫、(ただし)は釣り道具を手に言う。

「ともかく、最初出迎えるときまではいてよっ。
 緊張するじゃないっ」

「いや、吉住さんがもう迎えに来るからっ」

「吉住さんには、畑の方に来てもらってっ」

 夫が恐ろしい妻に逆らえるはずもない。

 千賀代、忠、巻き込まれた吉住は、畑で二人を待った。

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