苦手な上司にプロポーズすることになりました
 


 父親たちは、やっと釣りに行った。

 由人は、申し訳ありません、と思いながら、吉住の運転する車を見送る。

「さあ、なにから採る?
 好きなもの好きなだけ持ってっていいわよ」

 母、千賀代は、張り切って佑茉を振り返った。

「ありがとうございます。
 すごい、なにもかも立派に育ってますね~。

 なにがいいですかね? 部長」

 微笑んで佑茉が訊いてくる。

「鍋に入れる野菜とかいいな。

 あと、お前、サンドイッチにカラフルな野菜の千切りみたいなの詰めたの好きだろ」

 そんな話をしている自分と佑茉を母親が、やけに微笑ましげに眺めている。

 ……なんなんだ、その視線、と由人は怯えた。
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