苦手な上司にプロポーズすることになりました
「そうか。
 社長がそうおっしゃるのなら、断るわけにはいかないか」

 その日が、自分が佑茉の夫候補である最後の日かも、と思いながら、由人はそう言った。

 スマホを切ったあと、佑茉の住まいのあるエリア側の壁を叩いてみる。

 だが、もちろん、佑茉の部屋は遠く。

 向こうから叩き返してくることはなかった。

 これでいいんだよな。
 俺は、薬川みたいな、シュッとした美人より、もっと心安らぐ感じが好きなはずだし。

 薬川だと、家にいても、背後から斬りかかってこられそうだからな。

 ……なにも休まらない、と思いながら、とりあえず、今日はもう、なにも考えずに眠ることにした。





< 287 / 379 >

この作品をシェア

pagetop