苦手な上司にプロポーズすることになりました
「公園で見かけたんです。
 ぼんやりくつろいでいる彼女を」

 自分に結婚を勧められたと言い出さなかったので、和市は、ほっとした顔をしていた。

「薬川は、なにもない場所を見つめ、ぼーっとしたり、にまにましたりしていました」

 ……それは私、おかしな人では。

「それが彼女との出会いでした」

「同じ会社なんだろう?」

「職場での彼女は一分の隙もない感じで。
 私の好みではない、と思っていました。

 でも、公園での彼女は正反対で。
 私は、公園で見かけるときの彼女を好ましく思うようになりました。

 だけどたぶん、最初から――

 職場での彼女の中にも、そういう一面は見えていた気もします。

 職場でいきなり缶のコーンスープを飲み始め、すごい匂いがフロアに漂ったり」

「……いや、あれ、会社の自販機で売ってるやつですからね」

 いいじゃないですか、と佑茉は小さく反論する。
< 317 / 379 >

この作品をシェア

pagetop