苦手な上司にプロポーズすることになりました
「出ていかないか? と言ったんだ。
 俺とこの家を出ていかないか 薬川――」

「……え?」

「その……この家は広すぎて。
 お前が何処にいるのかもわからないし。

 ここにいたんじゃ、お前との距離が縮まらない気がするんだ」

 いや、訊け、何処に住んでいるのか、という湯沢たちの声が聞こえた気がしたが。

 それは佑茉の心のツッコミだったのかもしれない。

「だから――
 俺のマンションで暮らさないか?

 二人で」

 後ろから夕日に照らされた由人は職場にいるときとは全然違う、自信なさげな、おのれに戸惑っているような顔で言う。

 佑茉は立ち上がり、由人と向かい合う。
< 334 / 379 >

この作品をシェア

pagetop