苦手な上司にプロポーズすることになりました
「ぶ……ちょうのおうちに行くのもいいんですけど。

 あの――

 この家の中でも近くに住めばいいんじゃないでしょうか?」

「……近くに住んでもいいのか?」
と由人が見つめてくる。

「ど、どうぞ、隣の部屋にでもお住まいくださいっ。
 いえ、それだと部長を呼びつけてるみたいですねっ」

 私が近くの部屋に参りますっ、と動転したまま佑茉は言う。

「そうかっ。
 だがあのっ、近くの部屋じゃなくて、俺の部屋にでいいんだがっ」

 二人とも、なにかに脅され、急かされているのかという感じの早口だった。

 由人の方が先にそれに気づき、ひとつ大きく息を吸ってから、佑茉を見つめ、言ってきた。

「薬川。
 俺は不器用な男だから。

 今、自分がどんな気持ちなのかもよくわからない。
 でも、少なくとも、お前以外の奴と暮らしたいとか思わないし。

 たぶん、これから先も思わないだろう。

 ……お前こそ、無理やり話を進められたのに。
 出ていきたいとか思わないのか?」
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