苦手な上司にプロポーズすることになりました
 

 二人の結婚はまだだったが。
 佑茉と由人の仲は、社内でもう知れ渡っていた。

 なので、会社近くのカフェで、二人で堂々とランチをとっていたのだが。

 離れた席にいた女子社員たちは、そんな二人を遠目に窺いながら、囁き合っていた。

 この四月に入社してきた子たちだ。

「あ、見て。
 赤荻部長と佑茉さんよ」

「素敵ね」

「美しいカップル。
 憧れるわ~。

 お二人とも切れ者だし」

「邪魔しちゃ悪いから、挨拶は控えて、ここからそっと見てましょうよ」

「どんな話してるのかな」

 新入社員の女子たちは、自分も将来あのようになりたいと思いながら、佑茉と由人を憧れの眼差しで見つめていた。



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