苦手な上司にプロポーズすることになりました
 


 緑あふれるオープンカフェ。
 佑茉たちは隙間時間にスマホで仕事をしながら、料理が運ばれてくるのを待っていた。

 スマホの画面を眺めながら、佑茉が呟く。

「スマホって賢いと思いませんか?」
「どうした急に」

「この間、間違って、『たしたのあさ』って打ったのに。
 スマホが勝手に文脈から推察したのか、『明日の朝』に変換されてたんですよ」

「そうか」
と言いながら、由人はおのれのスマホに打ち込んでみていた。

「ん?
 俺のはならないな。

 お前がよく『明日』って打ち込むから、似た単語だと、明日に変換しようとするのかもしれないな」

 そう言った由人がふと思いついたように訊いてくる。

「『てしたのあさ』ではどうだ?」
< 343 / 379 >

この作品をシェア

pagetop