苦手な上司にプロポーズすることになりました
 


「今日は、あのなんかすごい段になっているケーキとかは頼まなくていいのか」

 ランチを食べ終わるころ、由人がそう言ってきた。

 おそらく、アフタヌーンティーセットのことだろう。

「もう食べられませんよ。
 時間もありませんし。

 ……ランチ頼まずに、あれだけ頼んでもよかったですよね。
 サンドイッチとかもついてますし。

 中身きゅうりだけのときもありますけど。

 アフタヌーンティーセットのサンドイッチってもともとは、きゅうりだけなんでしたっけ?」

「まあ、きゅうりってのは昔は栽培が大変で、富の象徴だったらしいからな」

 さっきの手下の朝よりはマシな話をしていたが。

 早く部署に戻らねばっと思っている新入社員たちは、もういなくなっていたので、それを聞くこともなかった。
< 346 / 379 >

この作品をシェア

pagetop