苦手な上司にプロポーズすることになりました
 


 会計を済ませ、外に出ても、二人はまだ佑茉について語っていた。

「そもそも、強引に出ようにも。
 あいつが家の何処に潜伏しているのかわからないんですが」

「どんな家ですか」

 隣に住んでくれ、そう言ったのに、あの日なんだかドタバタしてそのままになってしまい、あいつがどこに住んでいるのか、未だにわからない。

 というか、これ、ほんとうに両思いなのか?

 まあ、自分と佑茉の関係を仕事の契約と仮定すると。

 確かに相手方の動きから見るに、悪い感触ではない、
とそんな色気も素っ気もないことを考えながら、由人は、夜、家の長い廊下を歩いていた。

 すると、裏の黒い家から、飲みかけのコンビニのアイスカフェラテとノートパソコンの入ったバッグを抱え、佑茉が戻ってくるところだった。

「あ、お疲れ様です~」

 だから、ここ、職場か、と思いながら、足を止め、勇気を出して言ってみる。
< 358 / 379 >

この作品をシェア

pagetop