苦手な上司にプロポーズすることになりました
 


 翌朝、由人は、珍しく佑茉と出社の時間が一緒になった。

 バス停で佑茉が笑って言う。

「部長、こんなところで出会うとは」

「どうした、早いじゃないか」
 
 およそ、同じ家に住む者同士の会話ではない。

 バスに乗り込むとき、佑茉が、

「あ、部長。
 落とされましたよ、メモちょ……」
とメモ帳を渡しかけたが。

 佑茉の指が自分の手の甲に触れたとき、バチっと痛みが走った。

 佑茉がその指先を見つめながら呟く。
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