ただ、一面の青。
「…別に嘘じゃねーよ」
「そうなの?でも植草さんは付き合うなんて有り得ないって言ってたよ?」
有り得ない?
その言葉にムッとして振り向けば、瀬戸は「一緒に戻ろ」と呆れ顔で近づいてきたので、仕方なく隣を歩きながら小さく呟く。
「…すぐ本当になる」
「え、何それ」
「あいつは、俺が付き合えって言ったら絶対に拒否しない」
拒否できるはずも無い。あいつは、俺の言う事ならなんでも聞く。俺に償うために。
そうだ。だから俺はこんなにイラついている。
再会してすぐ必死に俺に縋るかと思いきや、あいつは適度な距離を保ってクラスに溶け込もうとしていた。まるで俺が菜乃花を覚えていないのが丁度いい、みたいに。
わざわざ自分から言うつもりはなかったのに、余りにも菜乃花が平凡に過ごすから腹が立ったんだ。俺を差し置いて平和を享受するなんて許せない。
償うべきだ。
もっと、必死に、俺の許しを求めて。
また再熱する怒りが心にドス黒く渦巻くと、瀬戸が「つまりサクの片思いって事?」と意味不明な事を聞いてきた。
「は?」
「だってそうじゃん。植草さんの事好きなんだろ?」
「好き…?」
好きってなんだ。そんな幼稚な。
「好きなワケない。あんなやつ」
それこそ有り得ない言葉を鼻で笑う。
俺の感情はそんな甘いものじゃない。もっと激しくて荒くて、深い。
「俺はあいつを…傷付けたい」
そう、その方がしっくりくる。