ただ、一面の青。
「サクそんな性癖あったの?流石に引くわ」
こいつは何を勘違いしているのか、うぇーと吐く真似をし出した。
「は?ちげーよ。あいつが嫌いって事だよ」
瀬戸はあまり納得のいってない表情で「植草さんもだけど、サクも中々病んでるね」と俺の背中を軽く叩く。
「はぁ?」
「事実じゃん。2人ともすんごい屈折してる」
「喧嘩売ってんのか?」
「…サクさ、ずっとそんな風に生きてると大事なもの無くすよ」
瀬戸はオブラートに包むという事を知らない。その明快さが気に入っていたが、こんな時ばかりは気分が悪くなる。
「んだよ。お前が奪うってか?」
バカにしたように鼻で笑えば、予想外に真面目な視線が俺を貫く。
「そんなつもりはないけど…仮にそうなっても仕方ないよね?」
「仕方ないって何だよ」
「兎に角、あれじゃあ植草さん可哀想だよ」
「いいんだよ」
「…お前がそんななら、俺がまた慰めるけど?」
絡み合った視線から伝わる火花が散るようなピリ、とした空気。いつもより好戦的な態度。
俺達は中学から関わりがあるが、こんな風に干渉してくる瀬戸は初めてだ。
興味の薄いフラットな関係。煩わしい程多くの視線に晒される生活の中、瀬戸の無関心さは一緒にいて気が楽だった。だから長い時間を共に過ごせたし、一番の友人と言える。
だが、なぜよりによって、その興味が菜乃花に向くのか。
「菜乃花は、お前の手に負えるようなやつじゃない」