Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 送信して数分待ったけれど返事は届かず、既読にもならなかった。

 *

 支給された制服から私服に着替え、目の前のロッカーを閉めた。いつも通りコンビニの仕事と清掃業をこなし「お疲れ様でした」と先輩らに挨拶を済ませる。

 鞄の中に入れっぱなしにしていたスマホを取り出し、ホーム画面の通知を確認する。慧弥から一件のラインが届いていた。

【そろそろ上がりだよね。迎えに行くね】

 届いたのは十分ほど前だ。想乃は会社を出た先でキョロキョロと周囲を確認した。程なくして車の走行音が聞こえる。見覚えのあるSUVが想乃の手前で停まった。

 助手席のウインドーを開ける慧弥と目が合った。「お疲れ様」と言われて乗るように促される。想乃はいくらか緊張しながらドアを開けた。

「明日も今日と同じような予定だったかな?」

 車が走り出すと彼に尋ねられた。一瞬反応が遅れるものの、仕事のシフトのことを言っているのだと察してすぐに返事をする。

「はい。明日も三時までコンビニで、七時まで清掃業です」
「土曜日は?」
「あ……。ええと。土曜日は十時から六時までコンビニで」
「それ休めない?」
「……え」

 手に持ったままのスマホから目を上げる。ちょうど信号待ちで停まった慧弥が想乃を見つめた。
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