Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 高そうな時計だなぁと思い、胸元にかかるアクセサリーにもちらちらと横目を向けた。あれもきっとブランドものだ。

 今さらながらに思ってしまう。私が隣りに並んでも大丈夫なんだろうかと。一応自分なりにお洒落はしているけれど、質の高さで言えば限りなく品質の低い物を身に付けていると思う。

 想乃の視線に気づき、慧弥が「うん?」と首を傾げた。想乃は頭を振り、曖昧に笑って誤魔化した。

「そ、そういえば今日は買い物をするんですよね、何を買うつもりなんですか?」

「うん」と頷き、慧弥が目を細めて想乃をちらっと見る。

「想乃に必要な物を一式ね、買い揃えるつもり」
「……え。私に必要な物ですか? いったい何を?」
「うーん。まずは婚約指輪だね」
「っこ、」

 婚約指輪?? そんな物まで買うの? だってふりなのに。そこまでする必要がある??

「ふりなのにどうして指輪まで? なんて思っているとしたらそれは大きな間違いだよ。想乃はいずれ並樹家に入る婚約者(フィアンセ)という設定だから婚前調査をされるのは当然だし、現段階で俺たちがどんなお付き合いをしているのか、というのも嗅ぎ回られる。だからこうして日々デートを重ねる必要がある」
「……な。なるほど」
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