Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 慧弥の見立てでフォーマルなパーティードレスを選んでもらい、全て試着する。ピンク、緑、紺の三着を着て見せると、彼は一様に頷いて紺色のものを店員に渡していた。その服に合うアクセサリーを店員に尋ねて、真珠のイヤリングとネックレスを数点見せてもらう。

 慧弥がそれぞれを想乃の耳や首元に当てがい、思案する。想乃を見つめる真剣な瞳に始終緊張し、ドキドキと心拍を高鳴らせた。

 服とアクセサリーが決まると、靴と鞄も同様にして選んでもらった。ヒールのあるパンプスを選ぶ際、店員が想乃にぴったりのサイズを出してきて、そこで合点がいった。以前、慧弥に尋ねられた身長と足のサイズの質問は今日のために必要だったのだ。

 慧弥は全てを一括で支払い、商品は想乃の自宅へ直接届くよう宅配の手配もしていた。

「それじゃあ次は化粧品専門店で……午後からは美容院だね」

 店を出たところで一度立ち止まり、彼が時計に目を落とした。ふぅ、と息をつく想乃を見て「疲れた?」と言って顔を覗き込んでくる。

「いえ。そういうわけじゃなくて……その」
「なに?」
「こ、購入した物の価格に圧倒されてしまって。慧弥さん、あまりにも思い切りがいいから」
「ああ、なんだ。そんなこと?」

 慧弥はふふっ、と笑い何でもないふうに言う。
< 123 / 480 >

この作品をシェア

pagetop