Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜


 黎奈に連れられて訪れたのは外観のお洒落なブティックだった。ガラス扉に表記されたAvenir(アヴニール)という店名を見て、おや、と思う。

 つい十日ほど前にも慧弥に連れられて来た店だ。十二月のパーティーで着る紺色のドレスやアクセサリーの類い、それらに合う靴と鞄を見立ててもらった。

 想乃は店内を見回してから、黎奈に声をかけた。

「あの、黎奈さん。私、このお店に」
「お疲れ様です、オーナー」

 来たことがある、と途中まで言いかけたところで店員の声に遮られた。黎奈は店員の女性数名に微笑みながら「お疲れ様」と声をかけている。あとに続いた想乃へ振り返り、「ここ、私の店なのよ」と教えてくれた。

 え、と声を飲み込みぽかんとする。

「慧弥に連れて来てもらったんでしょ、店の子に聞いてるわ」

 ちょっと来て、と手招きされて黎奈のあとに続いた。店の女性店員が想乃を見て、愛想よく微笑んだ。

 ハンガーラックに並んだ服の中から「これがいいわね」と言って、黎奈がベージュ色のワンピースを一着抜き取った。

 選んだのはセットアップのニットワンピースだ。タイトなワンピースの上にショート丈のドルマンニットを合わせた今っぽいスタイルで、とても可愛らしい。

 可愛いのだが。体のラインがモロに出る。
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