Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
「さっき恰好を気にしてたでしょ、これに着替えて?」
「……え、と」
「あと靴はこれね。サイズは何センチだったかしら?」

 強引に渡されたハンガーを受け取りおろおろしていると、店員の女性が「23.5センチです」と言って、靴の箱を黎奈に渡した。ピンヒールの黒いブーティと共に試着室へ押し込まれる。

 着替える……って。これに?

 胸元がV字に開いたノースリーブのワンピースを見て少し恥ずかしい気持ちになる。

 体にぴたりと張り付くタイトなスタイルなので、胸のサイズや腰回り、ヒップラインがしっかりと出るワンピースだ。セットになった上のセーター無しではとてもじゃないが着られない。

 いくらか悩ましく思いつつも大人しく着替えることにした。

 お腹まわり、大丈夫かな。お尻もちょっと……恰好悪い気がするし。

 黒のブーティを履きながら姿見に映る自分を入念にチェックする。初めて着る服装だった。

「着替え終わった?」

 カーテンの向こうから声がして、おずおずと外に出た。

「おかしくないですか?」と言いながら、何となく手でお腹あたりを押さえてしまう。三キロ太ったことを気にしていた。

 黎奈はふんふんと頷き、「やっぱりいいわね」と言って微笑んだ。

「似合ってるんじゃない?」
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