Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 そこからさらに慧弥の交友関係についても教えてもらった。

 大学時代の友人や会社関係の同僚など、それなりに付き合いはあるらしいのだが。幼いころから続いている幼馴染みの親友がひとりいるそうで、黎奈はその彼を“拓司(たくじ)”と呼び捨てにした。フルネームは水沢拓司というらしい。

「拓司はね。捜査二課の刑事で野生的な顔つきをしているの。目力が半端ないから睨まれると怖いんだけど、笑うとすっごくチャーミング」
「け、刑事さん、なんですか」
「ええ。昔から正義感が強くてね。真っ直ぐでとってもいい子よ。その点、慧弥はどこかずる賢いというか、猫っかぶりなところがあるから。あの二人が未だに仲良いのは拓司が合わせてるからかなって思うのよね」

 ふふふ、と笑みを浮かべる黎奈とは対照的に、いくらか呆気に取られていた。慧弥の友人に警察関係の人がいることに、単純に驚いていた。

「あ、そうそう」と次から次に話の種を撒く黎奈を見つめ、想乃は聞き役に徹する。黎奈にひとつだけ尋ねたいことがあるのだが、タイミングを見て聞こうと決めていた。

「慧弥の高校生時代の元カノでひとりすごい子がいたんだけどね」

 そう前置きし、想乃は黎奈の話に聞き入った。内容が内容だけにとても他人事とは思えず、聞くにつれて自身の心がざわざわと波立つのを感じていた。
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