Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
【けれど、こうしてデジタルデータを送信するワームホールの確立に何度か失敗し、手遅れとなってしまったのです。なのであなたに私のメッセージが届いたのは、事故からひと月が過ぎたころとなりました】

 デジタルデータの送信? ワームホールの確立……?

 急に科学的な内容に触れて想乃は眉をひそめた。専門的な技術は聞いたところで理解できないだろうが、とにかく、間に合わなかったと言いたいのだろう。

【Xさんが生きる世界では、かなり科学が発達しているんですね。私のいる今から何年後の世界ですか?】
【30年後です】

「さ、三十年……?!」

 送ってすぐに届いたメッセージに目を剥いた。これには驚かざるを得ない。メールの送り主が私であるのなら、未来の私は五十歳ということになる。

【慧弥さんについて教えてください】と書いて送信し、【どうして彼に警戒しなければならないのですか?】と尋ねることにした。

 少しの時間をおき、返事が届いた。慧弥に関する内容なので覚悟してメールを開いた。

【二代目の社長である並樹(あきら)さんの心を動かすには、あなたの存在が必要不可欠なのです。あなたを婚約者に据えることで並樹慧弥は次期社長のポストを確固たるものにします。並樹の出世のためにあなたは多くを献上します】
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