Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
「……は?」

 唇が半開きになり、眉間にシワが寄った。だからなに? と思ってしまう。はたしてこれは“利用”という意味で取れるのだろうか。

 慧弥の父に気に入られることが彼の出世に繋がるのなら、ただの成り行きであり、慧弥が画策して想乃を利用するという意味合いには取れないはずだ。

【それの何がいけないのですか? 私は今現在、彼の存在にたくさん救われています。弟のことや母のことにも恩を感じています。未来でそうした恩返しができるのであれば一向に構いません】

 少し待つとまた返事が届いた。

【そうですよね。昔の私はそういうふうに考えていましたね。あまりにも無防備で無知で純粋すぎた。だからこそ後悔も大きいのです】
【今の状態を続けていても並樹との未来は訪れません。あなたは並樹慧弥に裏切られ、捨てられてしまいます】

「え……」

 また声が出ていた。

 “裏切られて捨てられる”というのは、いったいどういう意味だろう?

 現時点では契約関係を結び、婚約者のふりをしているだけだ。この先、慧弥への恋心に進展があり交際が叶う、叶うが彼の裏切りに遭い捨てられる……そういうことだろうか?

 画面を見つめたまま固まっていると、バイブレーションとともに向こうからのメッセージが立て続けに浮かんだ。
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