Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
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***
ピンポン、とインターフォンが鳴った。想乃はいそいそと廊下をかけて客人を出迎える。週末を経た月曜日。十一月ももう半ばを過ぎているというのに、今日も昨日同様に暖かい。玄関を開けると門扉の外に黎奈の姿があった。
「悪いわね、予定より早く着いちゃって」
言いながら黎奈が柏手を作り、愛嬌じみて笑う。
黎奈からのラインでは十時ごろに行くと聞いていたけれど、今はそれより二十分も早い九時四十分だ。
「大丈夫ですよ」
想乃は上がり口にお客様用のスリッパを並べて、ピアノの置かれたリビングに案内した。「持って来たわよ」と言って、黎奈に紙袋を渡された。
先週頼んでおいた楽譜だ。亡き慧弥の母が弾いていた曲目が載っている。「ありがとうございます」と言って受け取り、中身を確認する。
何枚ものコピー用紙で綴じられた楽譜とは別に、黎奈が作成してくれた並樹家の家系図も入っていた。あとでちゃんと頭に入れておかないとな、と思い、まずは楽譜に目を通した。
想乃が譜読みをする間、黎奈は好きに動き回り慧弥が購入した白いグランドピアノに指先で触れた。開きっぱなしになっている蓋を見つめて鍵盤のひとつを指で押してみる。ポーン、と低い音が鳴った。
ピンポン、とインターフォンが鳴った。想乃はいそいそと廊下をかけて客人を出迎える。週末を経た月曜日。十一月ももう半ばを過ぎているというのに、今日も昨日同様に暖かい。玄関を開けると門扉の外に黎奈の姿があった。
「悪いわね、予定より早く着いちゃって」
言いながら黎奈が柏手を作り、愛嬌じみて笑う。
黎奈からのラインでは十時ごろに行くと聞いていたけれど、今はそれより二十分も早い九時四十分だ。
「大丈夫ですよ」
想乃は上がり口にお客様用のスリッパを並べて、ピアノの置かれたリビングに案内した。「持って来たわよ」と言って、黎奈に紙袋を渡された。
先週頼んでおいた楽譜だ。亡き慧弥の母が弾いていた曲目が載っている。「ありがとうございます」と言って受け取り、中身を確認する。
何枚ものコピー用紙で綴じられた楽譜とは別に、黎奈が作成してくれた並樹家の家系図も入っていた。あとでちゃんと頭に入れておかないとな、と思い、まずは楽譜に目を通した。
想乃が譜読みをする間、黎奈は好きに動き回り慧弥が購入した白いグランドピアノに指先で触れた。開きっぱなしになっている蓋を見つめて鍵盤のひとつを指で押してみる。ポーン、と低い音が鳴った。