Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
「と言うより。演奏するまえに曲名を言ったほうがいいのかどうかも……考えてしまって」
素直に答えると、うーん、と眉を下げて彼が腕を組んだ。
「喋ることに関しては、司会の晴彦さんがいるから心配する必要はないだろうけど」
「あ、そうなんですか。なら、少し安心です」
この大人数を前にして話さなくてもいいと知り、若干安堵する。未だに思案顔の慧弥にちらりと視線を投げられた。
「演奏する曲名はまだ教えてもらえないんだよね?」
「……はい。黎奈さんがお父さまのために選んでくれたので。弾くまで内緒にしててってお願いされて」
そういうことにしておけ、と言われたのだ。
ホールでドリンクを配るボーイからグラスをもらい、慧弥がため息をついた。「父さんの好きな曲か。全く思い当たらないよ」。ノンアルコール飲料に口を付けている。
それぞれの会話が飛び交うなか、「ご歓談のところ、まことに恐れ入ります」とマイクの音声が上がった。司会の晴彦が再び注目を集める。
「会食のお時間を頂戴いたしまして、演壇中央で記念映像も流しておりますので是非ともご覧になってください」
ホテルのスタッフによって、演壇の背景が金屏風からプロジェクター用のスクリーンに変えられ、スライドショーを上映していた。
素直に答えると、うーん、と眉を下げて彼が腕を組んだ。
「喋ることに関しては、司会の晴彦さんがいるから心配する必要はないだろうけど」
「あ、そうなんですか。なら、少し安心です」
この大人数を前にして話さなくてもいいと知り、若干安堵する。未だに思案顔の慧弥にちらりと視線を投げられた。
「演奏する曲名はまだ教えてもらえないんだよね?」
「……はい。黎奈さんがお父さまのために選んでくれたので。弾くまで内緒にしててってお願いされて」
そういうことにしておけ、と言われたのだ。
ホールでドリンクを配るボーイからグラスをもらい、慧弥がため息をついた。「父さんの好きな曲か。全く思い当たらないよ」。ノンアルコール飲料に口を付けている。
それぞれの会話が飛び交うなか、「ご歓談のところ、まことに恐れ入ります」とマイクの音声が上がった。司会の晴彦が再び注目を集める。
「会食のお時間を頂戴いたしまして、演壇中央で記念映像も流しておりますので是非ともご覧になってください」
ホテルのスタッフによって、演壇の背景が金屏風からプロジェクター用のスクリーンに変えられ、スライドショーを上映していた。